鳥と子供と不登校
鳥と子供と不登校
僕は夢の中で寝ていた。
調子が悪い・・昨日旅先だからと日本酒を飲み過ぎたんだ・・と後悔と布団をかぶっていると、一羽の鳥が障子の外を舞っていた
全体が濃い青、紅色のくちばし、一瞬ツバメに見えたがツバメより胴回りが大きく、どっしりとした猫くらい大きかった。見とれていると鳥は部屋に入ってきた
僕の近くをゆっくり飛ぶ、「ふれて欲しい」そう言っているような気がして手を伸ばす
しかしさわったら一目散に逃げるのではないかと、恐る恐る手を伸ばす、鳥はなでられて心地要さそうにしていた。
柔らかい毛並みがとても気持ちよかった、改めて胴回りがどっしりしてりっぱな筋肉で重量感のあるりっぱな鳥だと、なでながら感じた。
(鳥はいつの間にかいなくなり)
気が付くと外がにぎやかだったので障子をあけると、小学生の子供たちが数人、当たり前のように部屋に入ってきた、ふと時計に目をやると時間は午前11時、今は平日、学校はどうしたのかな?と思いつつ、なぜか子供たちを招くのがあたりまえのような気がして冬はこたつに使っていたテーブルを囲んでみんな座り、子供たちはどかどかと荷物を近くに置いた。
その中に子供の誰かが描いた絵が見えた。とても鮮やかでデザイン性の優れたイラストだった。テーブルの上は僕の絵が散乱してて思わず見せるのが恥ずかしくてすぐに片づけた。
子供たちはにこやかな表情だが落ち着かない様子だった、僕は最初の疑問をストレートに投げた
「学校はどうしたの?」
子供たちは顔を見合わせてぼそぼそと
「僕たちはその・・ねぇ・・?」とお互い顔を合わせて口ごもっている。
質問してから「しまった」と感じた
このこの子たちにとってさっきの質問はなにより辛いんだ、それは僕がなにより知っているじゃないかと感じた。そして少しでも明るい気持ちにさせないと・・そう思い僕はあることを出来るだけ陽気に話した。
「僕も不登校だったんだよ」
子供たちは驚いた、それは同じ仲間に出会えた喜びのざわめきだった
続けて僕は胸をはりこういった
「しかも6年も」
子供たちは驚きで声をあげ身を乗り出して僕をみる子も出てきた。
「学校行ってなくても大丈夫だよ、なんとかなるよ」
ぼろぼろ泣き出す子供も出てきた、僕は目の前の子供たちを絶望から救えた気になった、そしてそれが出来た自分を誇らしげに感じた。
目が覚めた。
旅先の民泊の一室。
夢のままの障子。
テーブル代わりのこたつ
遠くから障子を透かして小学校の鐘の音が静かに響いていた。
宏